歌舞伎俳優・中村勘三郎さん死去 〜 芸の型以上に生き方のマイペースさが好きだったなあ


 まだ57歳。惜しい。

歌舞伎俳優の中村勘三郎さん死去…57歳


 華やかな芸風で歌舞伎人気を支え、「平成中村座」公演などで新風を吹き込んだ俳優の中村勘三郎(なかむら・かんざぶろう、本名・波野哲明=なみの・のりあき)さんが5日午前2時33分、急性呼吸窮迫症候群のため、東京都文京区の日本医科大学付属病院で亡くなった。57歳だった。
 告別式は未定。喪主は長男の六代目勘九郎さんと次男の二代目七之助さん。
 2010年暮れに体調不良を訴え一時休演したが、復帰。11年11月から東京・浅草での「平成中村座」の7か月連続公演に出演した。しかし、今年6月に食道がんを公表し、7月の手術後の経過は順調だったが、肺炎による呼吸不全が進行、闘病を続けていた。
 戦後歌舞伎の大物で文化勲章受章者の十七代目中村勘三郎の長男。3歳で五代目勘九郎を名乗って初舞台。梨園(りえん)で天才子役と呼ばれた。早くから「芸の虫」として猛稽古を積み、粋な江戸歌舞伎の伝統を軸に、上方の芸風まで幅広く身につけ、舞踊でも正統派の名手として評価を確立した。
 当たり役は多く、「隅田川続俤(ごにちのおもかげ)」の破戒僧・法界坊、「夏祭浪花(なにわ)鑑(かがみ)」の魚屋・団七九郎兵衛では奔放かつ的確な演技で客席を圧倒。「鏡獅子」など舞踊のうまさでも、玄人筋をうならせた。
(12月5日 読売新聞)