SFに騙される人Part.2

アガリクス本販売の薬事法違反、社長に有罪判決

キノコの一種アガリクスから作った健康食品を不正に広告・販売したとして、薬事法違反(未承認薬品の広告など)の罪に問われた健康食品販売会社「ミサワ化学」社長三沢豊被告(58)などの判決が17日、東京地裁であった。

 大西達夫裁判官は「がん抑制率100%と根拠のない効能を書籍に掲載した」と述べ、三沢被告に懲役2年6月、執行猶予4年、罰金300万円、同社に罰金400万円を言い渡した。

 判決によると、三沢被告は「史輝出版」社長瀬川博美被告(52)(同法違反で起訴)らと共謀し、2001〜02年、「即効性アガリクスで末期ガン消滅!」と題した書籍を出版。がん患者ら14人に、即効性アガリクスS計205箱を計約600万円で販売した。


 これ↑自体は年に100件もありそうな詐欺事件ですが、同時期、外国の大学やディプロマ・ミルから「学位」を購入し、この手の詐欺事件に関与したエセ学者や博士がポンポン摘発されたり晒し上げにされていたのを、思い出しました。


 今回のアガリスク事件では師岡孝次、次世代ファーム研究所事件では堀洋八郎、マイナスイオン騒動では堀口昇とその一派、ついでに言うと法の華事件では福永法源。パシフィック・ウエスタン大やイオンド大といった学位販売業者から学位を買ったり、中国やフィリピンの大学から科学と全然関係の無い学位を取ったり取ったフリをしたりと、最近の詐欺事件の主役になった彼らのビジネス準備への精励ぶりには、頭が下がります。


 でも彼らがこういった小細工に力を入れるのは、「末は博士か大臣か」じゃないですが、日本人が昔から学者や博士といったインテリ風味な肩書きにめっぽう弱いからにほかなりません。1/6の日記に書いた2種類に加え、ニセ科学に騙されやすい層と言えば、肩書きに弱い日本人の中でもさらに弱い「受身な権威主義者」層。えてして彼らは「自分達は連中の肩書きに騙されただけ」と被害者であることを主張(あるいは弁明)しますが、それは少し違う。詐欺師の持つ肩書きという権威を信じることで思考停止してしまい、自ら検証する行為を怠ったというなら、その結果に関する責任は自分で負わねばならない。彼らは被害者ではあっても、自らに罪なしというわけでは絶対に無い。


 思考停止してしまった層の中には、病に悩み一般医療では万策尽きて、怪しみながらも一縷の望みを抱いて…という一種やむをえないケースもあるかもしれません。しかし、動機はどうあれ、彼ら一人一人の過ちが、後の百人千人の被害者を生む土壌となってしまっていることは事実。今からこの手のニセ科学や医療に望みをかけようとしている人には、どうかその事にご留意頂きたいと思います。あと、教育の現場や一般向けのメディアには、例えば特定保健用食品と世間一般の健康食品とはどこが違うのかとか、薬事法の縛りをすり抜けている健康詐欺商品の見抜き方とかの啓蒙活動をもっと進めてほしいなあ…。


 ただ、詐欺師も進化してるんですよ。こないだも、厚生労働省の承認が要らないペット用サプリをベースにして「抜け道的に」皮膚ガンへの薬効を謳った健康グッズや食品を製版しようとしている連中とニアミスしましたが、扱っている商品の属性のせいか、説明が上手でとても耳ざわりがいい(笑)。どういう経緯か知らないがまともな大学の人間を使ってるし、こりゃ気を抜いたら騙されるわ。とりあえず、成分特許の概要すら出せずプラシボ効果なのか実際の薬効なのか分からないデータとロジックしか出せないところは総じて疑いましょう!としか言いようが無いですねえ(^^;。


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マイナスイオンで癒される―"家電・グッズ選び"から、料理レシピまで (別冊宝島 (665))